チェンバロの語源

よくチェンバロとチェンバロンとを間違えている人がいる。
チェンバロンはジプシーやチロルの人たちが今でもよく演奏している民族楽器であるが(写真参照)実はそのチェンバロンがチェンバロの語源になっていると言ったら驚かれる方も多いと思う。
(あれれ??写真参照と書いてあるのに、写真がありませんでした。失礼しました!!)

   

チェンバロンのドイツ語名はハックブレット(Hackbrett)で、ギリシャ語やフランス語では(Tympanon)そしてお国芸のハンガリーでは(Cymbalon)大分近づいて来たようだが、何とイタリア語ではそのものずばり(Cembalo)となる。語源は皆同じで、『打って鳴らす楽器』という意味である。私の友人が持っている卓上のチェンバロンはpedalの無い、可愛いものであるが、大型のチェンバロンはpedalが付いている。
右側の写真は、実際にバチで演奏している所の写真なのだが、結構凝った形をしているバチなのだが、通常の簡易versionのバチは、茶筅のような形をしています。
えっつ??好みだから、安いタイプでなくても、茶筅型はあるのだよ!って??
あっそうですか??ハイハイ!!
金属的な音ではあるけれど、もっと柔らかい音がして、とても素敵です。
参考までに:You Tubeへlinkします。
https://www.youtube.com/watch?v=iRs9DNfjovI
あれ??日本人もいました。 MontiのCsardasです。
https://www.youtube.com/watch?v=OmTaV4xRoM8

Lukacs Miklos - Zold az erd? (cimbalom)
日本人の演奏は、チョッと音が乱暴だったので、口直しに、本当のジプシーの人の演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=tiZhxaIm-sg

Cembaloとは似ても似つかぬ音ですよね。

では今日私達が呼んでいるチェンバロはどうなのか?

本当はチェンバロの正式な名称は『クラビ・チェンバロ』と呼ぶ。『クラビ』とは鍵盤のことで、『鍵盤付きのチェンバロン』ということになる。
右側の写真は、教室所有の Lucasmodelの一段鍵盤のCembaloです。


Cembaloの小型の物をspinetと呼びます。
一般的には、スクエアー型(不等辺四角形)の小型チェンバロをスピネット(spinet)と呼ぶとされています。
しかし困った事に必ずしも、スピネットは不等辺四角形だけではない。
色々な形の楽器があります。
イギリスでは長方形の小型チェンバロをバージナルと呼びます。
俗説ではバージナルの語源は処女(
Virgin)から来たと言われているようですが、実際には小枝や棒を表す(VirgaあるいはVerga)から来たとする説のほうが有力である。

また、スピネットもこの楽器の発弦を表す、イタリア語の『棘』を表す『Spinaから来ている・・と、考えるのが妥当なようです。

形的には全く紛らわしいのだが、Clavichordと呼ばれる楽器がある。
この小型のClavichordは、私がドイツ留学中に買って日本に持って帰って来たClavichordである。
Clavichordは、その撥弦がCembaloとは全く違う。
本当に、微妙な音量ではあるのだが、crescendoやdecrescendoが出来るし、vibratoすら出来る。しかし、音量が如何せん、余りにも小さ過ぎるので、深夜、一人で演奏するには良しとしても、人とensembleをする事は不可能である。

右側の写真は撥弦をするタンジェントと呼ばれる部分の写真ですが、これじゃあなんの事か全く分かりませんよね。

という事で、図で分かりやすく説明してある絵を見つけたので、参考にもらいました。


Clavichordも、スクエア型や、spinet型等々色々な型がありますので、型でspinetかClavichordかを判断する事は出来ません。

発弦はチェンバロとは全くことなるのだが、Bachがこよなく愛したとされるクラビコードは、クラビ(鍵盤)とコード(語源は弦)の合成された名前である。

ついでにチェンバロはイギリスではハープシコードと呼ばれ、フランスではクラブサンと呼ばれる。ドイツではキールフリューゲルとも呼ばれた。

ちなみに、小型のポータブルサイズのスピネットのことを、スピネッティーノと呼んだ。
       
右側のスピネッティーノは多分日本人の製作なのではないかと思いますが、出典がよく分かりません。3octaveと少しあるので、曲を弾くのには、あまり困らないのではないでしょうかね??