レッスンの時間設定

オケ練習や室内楽の練習を子供達に指導していて、とても困る事があります。指導者の人ならば、皆さん経験済みだと思いますが、指導する内容が時間内に収まらない・・という事です。(勿論、その逆もあって、時間が余って、何を教えて良いのか困る事もあります。)
昔の私のlessonでは、lessonの時間はaboutなもの・・として規約等に書いていました。lessonの時間は、あくまで、生徒の勉強の度合いによって、受けられるlesson時間を決めていたのです。
だから、aboutなlesson時間という事で、lessonの金額は、指導の水準で、初級、中級、上級、超上級(所謂、pro-version)として、設定していました。
だから、lesson時間は、初初級が20分、初級30分、中級45分、上級1時間と、いう設定ではなく、生徒が勉強して来なければ、指導する内容が前回のlessonと全く同じというのならば、lessonは、ただ一度聴くだけの10分ぐらいで終わる場合もありますし、指導する事が多ければ、1時間よりも長くlessonをする場合もあった、という事でした。
しかし、こういった時間に拠らないlessonの仕方は、世界中のproの人達を育てる有名な先生達は、皆、一様に、時間時間が合って、無いようなlesson時間を取る先生達が殆どなのですよ。

一番良く聞く話なのですが、日本から留学して、憧れの先生に師事する事が出来た学生が、lessonを受けて、Pianoを弾き終わると、先生がニコニコして、「とても、良かったよ❢」と褒めてくれて、お互いに顔を見合わせて、笑いあってそのlessonは終わりです。・・ホンの10分でlessonは終わってしまいます。
・・で、その生徒のlessonは、10分間で終わって、次の生徒のlessonが始まるのです。そして、多くの勤勉で真面目な日本の生徒達は、先生が何も指導をしてくれない事に悩む事になるのです。日本人の音楽の学生達は、先生が総て指導をしてくれる・・所謂、塾型の教育を受けて来たから、ヨーロッパ型の指導は受けた事がないからなのです。

日本の音楽大学では、その生徒のlesson時間にならないと、lessonの教室には、入れて貰えない事が普通なのですが、逆に外国の場合には、そのlesson時間の次の時間の生徒は、前の生徒のlessonを聴講するのが普通です。
聴講生という資格の生徒もいるぐらいなので、lessonを聴講するという事はヨーロッパの授業では当たり前の事なのだからです。
ただ、聴講し、見学して勉強する事は当然として、lessonを受ける場合は、前の生徒がちゃんと勉強してくれば、自分の時間が前の生徒に取られてしまって、見て貰えないcaseもあるし、その逆の場合で、前の生徒が余り勉強して来なかった場合には、前の生徒の時間を貰える事もあるのです。それがproとしての、lesson時間の感覚なのです。

私がドイツに留学中にも、Pianoの女の子(私よりも年上ですが)が、同様の被害にあって、(褒められて10分でlessonが終わってしまう・・という事が続いて・・)私の所に泣き付いて来た事があります。(その話も詳しくhomepageに書いてあるので、繰り返しになるのですが)ですから、私が日本に帰国する迄の半年間の間、その人の曲を下見して、先生への問題の提起の仕方や、解釈の質問等々を説明して、lessonに行かせた事があります。私の下見で普通にlessonが受けられるようになったのですが、日本のlessonではそういったlessonはないので、やはり、日本人には無理なlessonの形態なのでしょうね。

その話は、留学をする予定の私の生徒達にも、何時も、何度となく説明していたので、そういったヨーロッパ型のlessonの受け方には、問題はありませんでした。
自分の前の生徒が、褒められて、10分でlessonが終わった時に、その生徒の時間を貰って、自分の時間が、2倍、3倍になって、予習が大変だ・・という手紙を貰った事もあります。

こういった事はlessonではなく、室内楽やorchestraの練習の見学も同じなのです。日本で私のcelloの恩師の室内楽のlessonを聴講したいと思って、師匠に申し出たのですが、にべもなく断られてしまいました。理由は聞いていませんが、「大学の授業なので・・」というのがその理由だそうです。よく理解出来ないが・・??チェコフィルとノイマンさんが日本に来て、そのrehearsal を見学させて貰った事があります。(1stviolinの人が知り合いだったので、)日本のagentが、「聴きたいのなら、お金を払ってコンサートに来い❢」と追い出されそうになったのですが、ノイマンさんが「私が招待するから」とagentに言って、客席の真ん中で練習を聴かせて貰った事があります。
友人がコルペチをやっているmilanoのオペラが日本に来た時に、友人はプレスの招待の日に私を呼んで来れました。(私は、演奏会を聴く事よりも練習を聴く事の方が好きだからです。色々と楽屋内が見れて、面白いのです。一般の人達が見れる事は絶対にないので、・・)
(昔は、教室の生徒達、小学生の子供達を引き連れて、proのorchestraの練習を見学に言った事があります。同級生がorchestraのownerだったからです。)

学校教育のように、きちんと時間を決めてlessonをする・・というのは、how-toの授業であり、amateurのlessonです。
決まり決まったノウハウを提供するだけの授業になります。
学校教育と同様に、先生は、生徒に対して、情報を提供して、生徒が、それを勉強して、自分の物にするか否かは、本人の努力次第という、所謂、塾的な考え方になります。

それに対して、職業としてのlessonでは、その曲を弾き熟すための、normaがあって、何が何でもその曲を演奏するためには、その技術を習得しなければなりません。
職人としてのお金を稼ぐための、proとしての勉強なのですから、当然、勉強とは、本人が出来るか否かが総てであって、その指導に「時間」と言うものは存在しないのです。
勉強しなければどうなるの??とか、勉強しても出来なければどうするの??という仮定は存在しません。出来ない物は売れないからです。
出来るようにしない弟子の場合には、所詮proには成れないので、その世界には居れなくなるだけなのですよ。

出来なければ、教えても無駄なのですから、出来るか否かだけが、lessonのpointになって、指導の総てになるのですよ。

教室を作ったばかりの頃、生徒が「concoursに出たい!」と言って来たのですが、そのconcoursの予選を通過する水準に到達していないので、練習が間に合わないので、私が厚意的に、lessonの時間を延長してlessonをしていたら、その子のお母さんが、家に電話を掛けて「lesson、ま~だ、終わんないのよね?」と、これ見よがしに言っていました。
lessonの時間が伸びたのは、私の厚意だったのですが、(延長料金も取らないで、)その親に取っては、その厚意は、有難迷惑だったようです。
勿論、そういう意識で、concoursに通る事はありません。

concoursは、将来音楽の道に進んで、proになる事を夢見ている人達の集まる所だからです。
だから、まかり間違えても、それぐらいの意識でconcoursに通る事はないのです。
concoursで演奏する音楽の、水準、所謂、Niveauが総てなのです。「concoursを受けて見たい」と思ったら、そのconcoursの予選と本選を先ず、見学してそれから、受けるか否かを決めるべきなのです。
近頃は、大学の入試でも、学校を見学に行って綺麗だったから・・と、進学を決める人がいて、困ってしまいます。
芸大なんかでも、その年の卒業生がどういう所に就職したから、留学したか、一般の企業に入ったのか・・という事を、細かく分析して公表しています。それを見て、芸大と音楽界との関係を判断すべきなのですが、芸大生でも、将来を具体的に見てはいないようですよね。
発表会で楽屋でお喋りをしていた時に、うちの教室の芸大生であるH君は、その現実をあからさまに批判していたようですがね。

普通ならば、『この出来では、concoursには、合格しないよね??練習が間に合わないよね❢❢』と先生が言ったら、生徒や父兄の方から「すみません❢❢追加lessonをしてください。」というのが一般の常識なのですがね。
ましてや、concoursを受ける人で、lesson時間の事や、追加lessonの料金の事を気にする人はいません。
concoursはその人の履歴なのだから、幾ら時間が掛かって、費用が掛かってもその生徒の一生に必要な必要経費になるからです。
勿論、音楽に進まない人には無駄な経費だから、それを「高い❢❢」と感じるのは当たり前で、将来に音楽を目指さない人は、concoursを受けるべきではないのですよ。concoursというのは「proになりたい」という人達の居場所なのでね。
(但し、concoursと言っても、ここで言っているconcoursのお話は、全国大会迄の勝ち抜きの日本で、2つ、3つしかない特別なconcoursのお話ですよ。
小さな地方のconcoursや、企業のconcoursとは、全く、別の種類のconcoursの話なのですよ。同じconcoursという名前でも、全く別の世界なのですから、お間違いのないように❢❢)

lesson時間のお話に戻って、私が日本に帰国して、音楽大学で生徒達を指導していた頃は、最初は、そう言ったlessonの方法をしていたのですが、大学からも「時間を守るように」・・と、文句を言われたので、それ以降は、事務的に時間を守って、事務的に指導するようになりました。
でも、学校のlesson時間が足りないので、連弾の練習や2台のPianoの勉強をするのに、前の生徒の5分の時間(歳下の生徒)と次の生徒(上級の生徒)の時間をダブらせる事で、20分のensemble教育と20分の個人lessonという時間を捻出しました。(苦肉の策ですがね。)
「時間を守る」と言う事は、私も「定時に帰れる」と言う事なので、本当は「吝か・・ではない」のですがね。

教室を開いてからも、オケ練習や室内楽の練習では、子供達のお迎え等があるので、終わりの時間が決まっているので、同じmemberの曲を一絡げにして、その時間の中で、配分するようにしています。本来的には、その時間しか指導するchanceはないのだから、本当に子供達が自分一人で勉強出来る所迄は、指導したい・・とは思うのですがね。そこは音楽に対する価値の問題になるので・・如何ともし難いものがあります。

出来ない技術は常に同じなので、4,5曲を纏めてlessonしても大丈夫なのです。一つの技術が出来るようになると、総ての曲が弾けるようになるからです。
その逆は、その技術がmaster出来ないと、総ての曲は弾けない・・という事になります。だから、1曲、1曲を時間通りに練習をして、総ての曲が舌足らずのlesson、練習になると、何時まで経っても、水準に達しない事になるからです。それぞれの曲を時間で練習するのではなく、それぞれの曲の技術を纏めてlessonをする・・という方法、それが、生徒をより上手くするためのone-point-lessonの極意なのですよ。