報酬というものは、できることに対して支払われるものです。研修とは、できないことを勉強する期間のことでありますから、勉強をしている間は逆にお金を払うのが世の中の常識であります。ピアノを習うのに月謝を払うのは当たり前ですよね?指導法をならうのも同じことです。
ところが、「大手の会社やバイトなどでは研修費をもらえるのに・・・・」という方もいます。それは、仕事というものがなんなのかわかっていない方の質問と言えます。そのような方のために少し説明をしたいと思います。
仕事には、バイトというものと、専門職というものが有ります。バイトとは人がそこに必要なだけなので、誰でもよい仕事です。ですから、1日、2日の簡単な研修程度で仕事に付く事が出来ます。分からなければ先輩に聞けばよいし、自分が望まないときには休む事も出来ます。勿論、バイトの上には正社員がいて仕事の仕切り(バイトの人の時間の調整や、責任のある仕事)をこなします。その程度の研修であれば「研修費」として報酬を出す大手の会社は多いでしょう。研修費を払うのは、その仕事がさほどの技術を要しない、つまり少ない時間で研修の済む、だれでもよい仕事だからなのです。それに対して、専門職というものがあります。音楽の世界に限らず、いずれにしても専門職とは、資格に合格してから、或いはそれだけの技術が出来てから初めて給与がもらえる職であります。専門職の研修の場合は、研修生が技術を習得するまでの期間、正社員が指導を続けなければいけません。これは正社員が時間や労力を研修に要するわけですから、会社側の所得からみた場合、マイナス要因になります。本当は研修生から逆に研修費をいただかなくてはいけません。それでも無料で指導をするのは、研修生が技術を身に着け、いずれ会社の役にたってくれるという将来性があるからにほかなりません。

研修期間中は、聴講で気づいたことや質問などを書いて提出していただき、それに対するアドバイスを行うと同時に、着眼点があっているか、どこまで見れているか、などの総合的なチェックをチーフインストラクターが行うわけなので、チーフにとっては自分の生徒だけを教えている通常のレッスンの倍の労力になります。一般的な考え方に従うとすれば、指導料をいただかなくてはならないことですが、教室の特殊性や芦塚メトードのすばらしさをぜひ研修生の方に理解していただきたいという思いから、指導料は一切いただいておりません。また、メトードが閉鎖的になる事を防ぐために、レッスンの聴講は一般の先生方にも制限してはいません。事前の連絡があればどなたでも聴講可能です。しかし一般の方が聴講に見えられたからといって、聴講料をいただく事もない代わりに、教室が一般の先生に交通費を払ったり研修費を払う事は、(バイトの世界ではないので)絶対にありません。