リコーダーのお話
リーコーダーの詳しいお話は別のページにあります。このページでは逸話のあるリコーダーのお話しをします。
リコーダーのメンテナンス
この、テナーとアルト、ソプラノがハードケースに収まったドイツ製のハンドメイドのリコーダーが私の元にやってきたのには、涙涙のお話があります。実はこのリコーダーを最初に買ったのは、何処かの高校の先生でした。じっくりとたっぷりと1月ほど吹き込んだらアルト・リコーダーにひびが入ってしまったと言って烈火の如く起こって返品に来たそうです。相当乱暴に使ったらしく、歌口の唇の当たる所はすっかり塗りが剥げていました。店の責任者の人が説明をしたのだそうですが、納得しないで、返品されてしまった。誰かに売るわけにもいかないし、私に「もらってくれないか」と言う話しでした。「こんな素晴らしい物を、ただでもらうわけにはいかない。」と言うと、「じゃあ、ケース代だけでいいから。」ということで引き取りました。リコーダーのひび割れは、演奏中にもしょっちゅうある事で、珍しい事ではありません。達だ、何処にひびが入るかで場所によっては再起不能の場合もあります。いずれにしても、自動車の新車の場合と同じで、新しいリコーダーを吹くときにはウオーミングアップが必要になるのです。最初は1日5分ぐらいから初めて、吹き終わった後は、丁寧に湿気を柔らかな布でふき取って上げます。一月位かけてじょじょに吹く時間を増やしていきます。吹き終わった後、特に歌口の部分は非常にデリケートなので丁寧に拭いていきます。これを「吹き慣らし」と言います。慣らしがうまくいくとめったな事ではひび割れしないリコーダーになります。私の友人がブラスバンドの指導で高校を回っていたとき、ある高校でブラスの先生が「楽器を清潔にしなければならないから。」と言って、クラリネットを水道で水洗いさせている所に行きあったそうです。別に木管楽器で無かったとしても、楽器は水には極端に弱いのでくれぐれも注意して下さい。リコーダーのひび割れは、歌口でなければ、瞬間接着剤で回りに付かないように注意して補修すれば充分です。歌口のニスが剥げたのは、ニスを塗り直せば良いのですが、気にしなければ良いのです。前の持ち主はわずかひと月でニスが剥げる程、リコーダーを吹き込んでしまったのですから、本当は返品の対象にはなりません。学校の先生という事で、我儘が通ってしまったのです。