このパーフリング(象嵌)にはヴァイオリン製作者の技術を表すだけではなく、実質的な役割、板がぶつけた所から割れてくることを防いだり、補強したりする役割があるそうです。
この縁取りの事をParfringというそうですが、この一本の線には黒白黒の3本の極めて細い木の板を貼り合わせ1.5ミリの溝に埋め込んでいくという象嵌技術の粋を見ることが出来ます。芦塚先生がミュンヒェン時代になけなしのお金で古道具屋で購入したミッテンバルトのヴァイオリンには象嵌を入れるときの切り込みのミスを見出す事が出来ます。
芦塚先生所有のヴァイオリンには変わったものが多いのですが、愛用の変型ヴァイオリンの他に、縁取りが二重になっているものがあります。
安い楽器では、象嵌は描かれています。
右の写真はダブル・パーフリングのクローズ・アップ写真です。一本の黒い線は3本の細い木を貼り合わせたものを埋め込んであります.。腕の良いヴァイオリン製作者の手に掛かるとあたかも象嵌が描かれたもののように、見えてしまいます。安い楽器では本当に象嵌は描かれていますので、ちょっと問題かな?
Parfring(象嵌)のお話
クレモナの古い楽器ですが、未調整ですので、本当の音はまだ出ません。何よりも縁取りが二重になっている所等が大変珍しく、古い楽器にはダブル・パーフリングといって、時々あったらしいのですが、実際には見たことはありません。
←描かれた象嵌
裏側の全体